八景(はっけい)とは、ある地域における8つの優れた風景を選んだ風景評価の様式です。10世紀の中国(北宋)で選ばれた瀟湘(しょうしょう)八景がモデルとなっていて、影響を受けた日本を含む東アジアの各地でも八景が選定されてきました。
8つの風景の組み合わせは瀟湘八景をなぞらえている場合と、知名度の高い名所を中心に選出した場合があります。前者のような伝統的な形式では、8つの風景の対象地(地名)とそこでの事象や事物を組み合わせています。
事象や事物の内容は、『晴嵐』『晩鐘』『夜雨』『夕照』『帰帆』『秋月』『落雁』『暮雪』と、瀟湘八景の形が基本となっています。
日本の八景の1つ、近江八景は、琵琶湖南部の8カ所の景観を指しています。

一説には、室町時代の明応9年(1500) 公卿 近衛政家(このえまさいえ)が、近江の素晴らしい景観について八首の和歌を詠んだことから、近江八景が生まれたと言われていますが、 定かではないようです。

また江戸時代後期には、浮世絵師 歌川広重歌川広重(うたがわひろしげ)が近江八景を描いています。
今回の写真は、堅田落雁です。
『峯あまた 越えて越路に まづ近き 堅田になびき 落つる雁がね』
堅田の浮御堂を詠んだものです。
各地に八景があるので、和歌を調べながら訪ねてみてはいかがでしょうか。